結婚前の立場

彼女の就職のときのコンセプトは壮大で、「国際関係の延長線上の産業の中に自分の身を置くことによって、世界をゆるがすことがしたい」というものだった。ところが、ときはバブル崩壊後の就職難の真っただ中だったのだ。「女は理系か帰国子女、東大じゃないと総合職にはっけないって話だったんです。たしかに一般職で慶應のお嬢さんたちが来るような会社だから、その上に立つ総合職はその程度じゃないと彼女たちが納得しないんですよね。大きな会社に入っても、事務的なことをやりたいわけじゃなかったから、それなら入っても仕方がないと思って大手はあきらめまし女でも営業をやらせてくれるようなところを探していたがなかなか見つからなかった。結局、今の会社の社長の「女性にもフィールドを与えます」という面接の一言で、そこに入ることを決めたという。「営業といっても、消費者相手じゃなくて、会社と会社の取引をする法人営業に携わりたかったんです。だけど、就職試験で女の子の立場がどれだけ弱いかってよくわかったんですね。どう考えても私のほうができるのにって思うような男の子がすんなり入るのに、私は女だってことだけで落とされる。今まで何やるにしても平等だったはずなのに、こんなことがあるんだって……、そういう形で現実をかみしめたんです。だから、女の子が社会に出て企業のオジサンと対等に話をするためには、会社って看板しよってなきゃダメだなと思った。それを利用して大企業のオジサンと何かしらのチャネル作ろうって……。でも、銀行とか繊維業界とか保守的なところは、対法人に女の子を立てるとは思えなかった。その点、今の会社は新しい分野だから期待できるかなと思ったんです」入社後、いくつかの部署を移動し、国際ビジネスに関わるような仕事も経験することができた。が、社員である以上、自由に仕事を選ぶわけにはいかない。配属された部署で思うような仕事ができず、何度もやめようかと思ったこともあるという。そして、最近また、今の部署に移動になった。

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